今回は牝馬限定のGIではなく、天皇賞(秋)というこれまでも数々の名勝負が繰り広げられてきた舞台。牡馬を差し置いて現役最強とも言われる女傑2頭の再対戦ということで、それだけでもかなり注目が集まってましたし、さらに今年のダービー馬の参戦もあって、朝からダービーデーかってくらい人が入ってました。
さて、10レースも終わり、パドックを周回後に本馬場にスカーレットとウオッカが出てくると、すごい歓声。蒼井優さんも最上部の招待席から顔を出して最高潮に達したところで、スタートが切られました。
案の定スカーレットがハナに行き、ペースよく逃げます。外からペリエ騎乗のトーセンキャプテンにつつかれながらも、なんとか我慢して1000m58.7。ただ、スカーレットが逃げるなら、1分前後のスローになるだろうと思っていただけに(しかも天皇賞のレコードは、1:58:0ですし)、場内がざわめきました。つついていたトーセンキャプテンは4コーナー曲がったところでもう脚が上がり、比較的前目につけていたディープスカイとウオッカが外から追い込んできます。スカーレットは坂の途中で追いつかれて、「あーやっぱり休み明けはつらかったかなー」と思いつつも、スカーレットを撮りに来たようなものですから、彼女にカメラを向けたのが下の写真。

ここで安藤騎手、外から来る2頭を確認してるんですよね。それはもう手応えが無かったからなのか、待ってたからなのか分かりませんが、外から追い込んでくる馬がいるとスカーレット自身が気づいたのか、ここで再び盛り返してきます。誰もが強いことを知っている1番人気、2番人気の化け物牝馬の死闘に、場内は歓声が上がります。残り50mまでは勝ったと思いました。しかし64年ぶりの牝馬ダービー馬、東京は私の庭、と思っている(かもしれない)ウオッカは強かった。後少しのところでギリギリ届いたかどうか、というところがゴールでした。
スローで見てもどっちが前に出てるか分からないような微妙な差。さらに着順掲示板の1分57秒2のタイムの上に「レコード」の文字が点灯しました。シンボリクリスエスがマークした今までのタイムを1秒近くも縮める文句なしのレコードです。場内興奮冷めやらぬなか、そこからながーい写真判定が行われました。12万人以上が入った東京競馬場は誰も動きません。その間何度もレースのリプレイがターフビジョンで流れたのですが、ゴールシーンが来るたびに「うぉー」というため息とも悲鳴ともつかないような歓声があちこちで起きてました。「こんな面白いレースが見られたんだから、もう同着でいいんじゃね」という空気が流れるなか、約15分後に出た写真判定の結果は、1着14番、2着7番。ウオッカの勝ちでした。報道によると、わずか2センチ差だったとか。

私の馬券は紙くずになりましたが、まあ多分「平成の名勝負ベスト10」いや、138回という長い歴史を持つ天皇賞(秋)の中から選んでもベスト10に入るであろうすごいレースをその場で見られてよかったです。多分場内にいた人も(馬券が当たった人も多かったと思いますが)、満足だったのではないでしょうか。一昨年引退したディープインパクトは確かに強かったと思いますが、こういう勝ったり負けたりのライバルを手に入れられなかったことで、彼のレースは「名勝負」という意味ではやや落ちる気がするんですよね。久々に「やっぱり競馬っていいなあ」と思えるレースでした。スカーレットも確かに負けはしましたが、長い休み明けで決して逃げ馬に有利とは言えないペース、そして初めての東京コースという条件の中であの200mからの盛り返しは、常に頭で買い続けてきた私でさえ目を疑うような強さでしたし。またこの2頭のガチンコ勝負見てみたいなあ。
3着はディープスカイ。最後方からものすごい脚で追い込んできたカンパニーはハナ差の4着でした。ハイペースでのカンパニーの末脚は本当に凄いですね。ただ、展開に左右されちゃうのがGI勝てない理由だと思いますが。また、3歳馬のレベルが云々言われる中、ディープスカイは歴史的な名レースと言われるであろうこの天皇賞で、ダービー馬として恥ずかしくないレースができたと思うのです。いや、確かに牝馬2頭に負けたわけですが、レコードタイムを1秒近く縮めてしまうこの2頭は規格外。今回の敗戦は、絶対的能力差というより、経験や年齢の差かも。来年までどれだけ成長できるかが鍵だと思います。
さて、来週はアルゼンチン共和国杯と共に、第2回ジョッキーマスターズやオグリキャップが東京競馬場にくるイベントもあり。楽しみです。
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