
今年の有馬記念はなかなか面白いメンツでした。GI馬も多かったのですが、それ以上に確実にこいつは来るだろう、と言うのが無く、どの馬もそれぞれ弱点あり、強みあり、ペースも読めずの難しい一戦。ただこういうときって、終わってみれば「ああ、やっぱり」ってことが多いんですよね。本当に強い馬が勝つというか。
まずは前哨戦。皐月賞と同じ芝2000mの新馬戦(去年ダイワメジャーがデビューして2着だった)と、ホープフルステークス(去年はエアシェイディが勝利)という来年に向けた2歳馬のレースもそれぞれ手に汗握る展開。私の勝敗は1勝1敗。特にホープフルステークスは石橋脩騎乗のカンペキ(という名前の人気薄馬の)単勝に賭けてたのに、最後の最後でハナ差差しかえされました・・・アンカツ・・・(T_T)。有馬記念発走の時間には、相方とともに既に喉がかれてる状態(笑)。
さて、立錐の余地もないほど埋まった人々が歓声を上げる中、いよいよ有馬記念のファンファーレです。ゲートの中がターフビジョンに映し出されるのですが、2番のピサノクウカイが、同厩舎のゼンノロブロイを隣に発見して彼が気になる様子です。「あれ、ロブロイ先輩、一緒に走るんすか?」という感じで、ずっと最内を眺めている隙にスタートが切られました。当然ピサノクウカイは出遅れて、最後方からの競馬です。「あちゃーやっちまいましたよ、ロブロイ先輩」とか思ってたのでしょうか。

ゲートの出の良かったタップダンスシチーがそのまま先頭に立ちました。ロブロイ、デルタブルース、ヒシミラクルなどGI馬の後ろからのプレッシャーにもタップは何のその。かなり速いペースで飛ばし続けました。まるで「ついてこられるこられるなら、ついてきな」と言わんばかりの逃げ方。2周目の4コーナーを曲がった時点でヒシミラクルが脱落、デルタブルースも坂の前で脚が上がりました。後ろにいた馬もそれほど余力が残っているわけではなく、最終的にタップに食い下がったのはやはり2億円のボーナスがかかるゼンノロブロイ1頭。坂からゴールまでのラスト200mは、この2頭のマッチレースでした。人気の2頭のデッドヒートに、実況も会場も大興奮状態。最後の最後でロブロイが1/2馬身離してゴールしましたが、タイムはなんと2分29秒5。シンボリクリスエスが去年作ったレコードタイムを1秒も縮めてしまいました。

ホントすごいレースでしたよ。ちょうどこの日はテンポイントメモリアルがあったのですが、テンポイントとトウショウボーイのデットヒートもこんな感じだったのかなあと思ったのでした。私の中では「今年の秋は3歳馬が強い」と思ってましたが、結局ゼンノロブロイは一度も3歳に負けませんでしたし、ゼンノロブロイにここまで真剣勝負で挑めたのは、タップダンスシチーだけでした。きっとこの直線200mの映像は、競馬史上に残るのでしょうね。

レース後には、毎年恒例有馬記念回顧と、今年一年お疲れ様のイベントがありました。そこで「ゼンノロブロイは本当はどの距離が一番合うんでしょうね」と聞かれたペリエ騎手は、「チャンピオンはどんな距離でも勝てる」と言ってました。是非来年は春の天皇賞、そして高松宮記念、マイルCSとあらゆる距離に挑戦して、GI総なめにして欲しいものです。いや、マジで。
タップも7分の出来と言いながら、あれだけの横綱レースができるのですから、来年も楽しみ。現役続行ということらしいですから、またゼンノロブロイとの一騎打ちを見たいものですね。次会うとしたら、宝塚記念でしょうか。今度はタップのホームグラウンドでというのも一興です。